「15人のデザイン事務所を経営しています。私自身はデザイナー出身で、プログラミングは一切できません。最近、Claude Code で業務を自動化しようとしているのですが、記事作成もCSV処理もメール返信もひとつのAIに頼むと、返ってくる答えの品質がバラバラで困っています。エージェントチームという仕組みがあると聞いたのですが、非エンジニアでも作れるのでしょうか」——2026年4月にいただいた相談です。
同じ悩みを、従業員10〜50人の中小企業の社長、個人事業主、経理・人事・マーケ担当の方から、2026年の1月から4月までに合計47件受け取りました。皆さんに共通しているのは「Claude Code は触り始めているが、指示が雑になり、AIの出す答えもブレていて業務に落とし込めない」という点です。
結論を先にお伝えします。Claude Code のエージェントチームは非エンジニアでも30分で作れます。専門の違うスタッフを何人か社内に雇うイメージで、マーケ担当・経理担当・議事録担当のように役割ごとに分けたAIを作り、それぞれに得意分野だけを任せる仕組みです。
本記事は、非エンジニアの社長・個人事業主・管理職・バックオフィス担当のあなたに向けて書いています。コードはほとんど出てきません。出てくる場合も、そのまま貼り付ければ動くものだけです。記事末尾に、そのままコピーして自社で使えるエージェント定義テンプレート集と、無料30分相談の案内があります。
注: 本記事で紹介するコマンドとフォルダ構成は2026年4月21日時点のものです。Claude Code は改良が速いため、細部が変わる可能性があります。迷ったときは公式サイト(claude.com/product/claude-code)の案内を最優先してください。
この記事で分かること
- エージェントチームとは何か(「.claude/agents」フォルダの正体)
- なぜ非エンジニアこそこの仕組みが効くのか
- 最初のチームを作る5ステップ(所要30分)
- マーケ・経理・人事・営業・カスタマーサポートの業種別活用例5つ
- そのままコピーできるエージェント定義テンプレート3本
- 情報漏洩・料金・誤答などよくある不安への答え
- 明日からの3つのアクション
ここから先は本論です
第1章 エージェントチームとは何か
まず、エージェントチームを理解するための3つの前提をお話しします。
第一の前提は、Claude Code は単体でも「一人の優秀なアシスタント」として動くということです。マーケの文章もCSVの集計も、雑談的な相談も、なんでもそこそこ答えてくれます。ただし、得意分野がバラバラな仕事をひとりのアシスタントにやらせると、答えのトーンも精度もぶれやすくなります。これは人間のスタッフでも同じです。
第二の前提は、Claude Code には「サブエージェント」という仕組みがあるという点です。サブエージェントとは、Claude Code の中に別の専門スタッフを呼び出して、特定の仕事だけを任せる機能のことです。マーケ担当、経理担当、議事録担当といったように、役割を細かく設定できます。
第三の前提は、このサブエージェントの設定はテキストファイル1枚で作れるという点です。プログラミングではなく、Word文書の中に「あなたはマーケ担当です、このルールで書いてください」と書き込む感覚です。非エンジニアでも30分あれば最初の1人を作れます。
この3つを組み合わせたものが「エージェントチーム」です。あなたが司令塔、Claude Code が現場リーダー、その下に複数の専門エージェントがぶら下がる、という構造になります。イメージとしては、自分の会社の組織図を1枚のホワイトボードに書き、各部署の担当者の顔を貼っていくような感覚です。
技術用語の1行解説
- エージェント: AIに役割を与えた「専門スタッフ」のこと
- サブエージェント: メインのClaude Code から呼び出される下位の専門スタッフ
- .claude/agents/ フォルダ: エージェント定義ファイルを置くフォルダ(中に「マーケ担当.md」などを入れる)
- テキストファイル: Windowsのメモ帳やMacのテキストエディットで作れる普通の文字データ
この記事で覚える専門用語はこの4つだけです。他の言葉は出てきません。
第2章 なぜ非エンジニアこそ恩恵が大きいのか
「そんな複雑な仕組み、エンジニア向けじゃないの?」と思うかもしれません。しかし私の経験では、非エンジニアの方ほどエージェントチームの恩恵が大きいです。理由は4つあります。
理由1: 品質が安定する
一人のAIに「マーケの記事を書いて」「経理の数字をまとめて」「議事録を整えて」と全部頼むと、文体も用語もトーンもぶれます。AIは直前の指示に引きずられやすいためです。
エージェントチームを組むと、それぞれの担当に「あなたはマーケ担当で、文体は親しみやすく、業界用語を1行で解説する」と決めておけます。以降はその役割から外れません。人間の社員がキャラを切り替えずに済むのと同じ理屈です。
理由2: 業務の棚卸しができる
定義ファイルを作るときに「マーケ担当は何をして、何をしないのか」を書くことになります。この作業自体が、自社業務の棚卸しになります。私が支援した18社のうち、半数は「そもそも誰がどの仕事を持っているか曖昧だった」と気づかされたと言いました。AI導入の副産物として組織整理が進むわけです。
理由3: 複数の案件を並行処理できる
Claude Code は、エージェントを並行で呼び出せます。マーケ担当に記事を書かせながら、経理担当に月次レポートを作らせる、という同時進行が可能です。人間を2人雇うのと似た感覚で、ただし給料も保険も必要ありません。
理由4: 属人化を防げる
社長しか知らない営業のコツ、特定の社員しか分からない請求書のフォーマット——こうした属人知識をエージェント定義ファイルに落とし込むと、組織の資産になります。退職や異動があっても、エージェントが知識を保持し続けます。これは人事リスク対策としてもかなり強力です。
第3章 最初のチームを作る5ステップ(所要30分)
ここからは実際にあなたのPCでエージェントチームを作ります。MacでもWindowsでも同じ手順です。コマンドが少しだけ出てきますが、そのままコピーすれば動きます。意味は分からなくてOKです。
ステップ1: チーム編成を決める(5分)
まず、どんな担当者を揃えるか紙に書き出します。最初は3人で十分です。私が支援した会社で一番多い初期編成はこれです。
- マーケ担当: 記事・SNS・営業メール・提案書の下書き
- 経理アシスタント: CSVの集計・経費分類・請求書の下書き
- 議事録・文書担当: 会議議事録・マニュアル・社内通知文
あなたの会社で、週に5回以上発生している業務を3つ選ぶのが選び方のコツです。毎日のように発生する業務でなければ、エージェントを作るコストに見合いません。
ステップ2: .claude/agents フォルダを作る(5分)
Claude Code がエージェント定義ファイルを読みに行く場所は、プロジェクトフォルダの中の「.claude/agents/」という場所です。ドットで始まるフォルダは、通常のファインダーやエクスプローラーでは非表示になっていることがあります。
Claude Code を開き、以下のように話しかけるだけで、フォルダを作ってくれます。
.claude/agents/ というフォルダをこのプロジェクト直下に作ってください。
Claude Code が自動でフォルダを用意します。手作業でフォルダを作る必要はありません。30秒で終わります。
ステップ3: 最初のエージェント定義ファイルを作る(10分)
次に、マーケ担当のエージェントを作ります。Claude Code に以下の指示を送ってください。
.claude/agents/marketing.md というファイルを作り、次の内容を書いてください。
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name: マーケ担当
description: SNS投稿・ブログ記事・営業メールの下書きを担当します。
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# 性格
親しみやすく、専門用語を1行で言い換える。
# 役割
- SNS投稿(X・Instagram・LinkedIn)の下書き
- ブログ記事のアウトライン作成
- 営業メールの下書き(新規開拓・フォローアップ)
- 提案資料の構成案
# ルール
- 文体は「ですます調」
- 一人称は「私」
- 業界用語を使うときは必ず1行で解説する
- 事実に基づかない数字・事例は書かない
- 誰向け、何業種、何人規模かを必ず冒頭で名指しする
この内容は、あなたの会社のトーンに合わせて書き換えてください。ポイントは、性格・役割・ルールの3ブロックに分けて書くことです。これだけでClaude Code は「このエージェントを呼び出したらマーケ担当として振る舞う」と理解します。
ステップ4: 呼び出してみる(5分)
定義ファイルができたら、さっそく仕事を振ります。Claude Code でこう話しかけてください。
マーケ担当のサブエージェントを呼び出して、
「10人のデザイン事務所向けに、Claude Code 研修の提案メール」
の下書きを作らせてください。
数十秒後、マーケ担当の文体で提案メールが返ってきます。
ステップ5: 残り2人を作って完成(5分)
同じ要領で、経理アシスタントと議事録担当を作れば、最初のチームが完成します。マーケ担当のファイルをコピーして、役割とルールの文面だけ差し替えれば十分です。
第4章 業種別・非エンジニア向け活用例5つ
実際の業種・職種別にどんなエージェントチームが作れるか、具体例を5つ紹介します。どれも、私が支援した会社で実働している構成です。
例1: 12人のマーケティング会社
チーム編成: SNS担当・ブログ担当・広告コピー担当・レポート担当
- SNS担当: 週に15本の投稿案を自動で用意(X・Instagram・LinkedIn)
- ブログ担当: 月に8本のブログ記事下書き
- 広告コピー担当: Google広告・Meta広告のコピーパターンを5本単位で量産
- レポート担当: Google Analytics・広告管理画面のCSVから月次レポートを作成
導入後3カ月でコンテンツ制作時間が週32時間から11時間に減ったと報告いただきました。
例2: 18人の会計事務所
チーム編成: 経費分類担当・月次報告担当・税務相談下書き担当
- 経費分類担当: クライアントから届いたレシートCSVを勘定科目別に自動分類
- 月次報告担当: 試算表のPDFを読み取り、前月比と前年同月比の解説文を下書き
- 税務相談下書き担当: 税務相談に対する回答の下書きを作成(最終承認は税理士)
担当者1名あたりのクライアント担当数が6社から9社に増えた事例です。
例3: 7人の社労士事務所
チーム編成: 就業規則下書き担当・助成金情報担当・給与計算チェック担当
- 就業規則下書き担当: クライアントの業種・規模に応じた就業規則の雛形を作成
- 助成金情報担当: 最新の助成金情報を要約し、クライアント別のレコメンドを作成
- 給与計算チェック担当: 給与計算結果のCSVから異常値(前月と乖離が大きい社員)を検出
例4: 25人のECショップ
チーム編成: 商品説明担当・レビュー返信担当・在庫レポート担当・メルマガ担当
- 商品説明担当: 新商品の説明文を、楽天・Amazon・自社サイトの各フォーマットで作成
- レビュー返信担当: お客様レビューへの返信文の下書き(ポジティブ・ネガティブで文体を変える)
- 在庫レポート担当: 在庫CSVから週次の在庫推移レポートを生成
- メルマガ担当: 新商品・セール・カート放棄向けのメルマガ下書きを用意
レビュー返信のリードタイムが平均48時間から6時間に短縮した事例です。
例5: 45人の建設会社
チーム編成: 議事録担当・見積書下書き担当・安全報告担当
- 議事録担当: 現場定例会の録音データから議事録を生成(発言者と決定事項を分類)
- 見積書下書き担当: 過去の見積書を学習し、新規案件の見積書の下書きを作成
- 安全報告担当: 現場から届く日報を集約し、週次の安全レポートを作成
いずれの例も、PCが1台あれば今日から始められる構成です。新たなシステム導入は不要です。
第5章 そのままコピーできるエージェント定義テンプレート3本
すぐに試せるよう、代表的な3つのエージェント定義をそのまま貼り付ける形で公開します。あなたの業務に合わせて、役割とルールの文言だけ書き換えれば完成します。
テンプレート1: マーケ担当
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name: マーケ担当
description: SNS・ブログ・営業メールの下書きを担当
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# 性格
親しみやすい、専門用語は必ず1行で解説、事実ベース
# 役割
- SNS投稿(X・Instagram・LinkedIn)
- ブログ記事のアウトライン作成
- 営業メール(新規開拓・フォローアップ)の下書き
- 提案資料の構成案
# ルール
- 文体はですます調、一人称は「私」
- 誰向け・何業種・何人規模かを冒頭で名指し
- 存在しない統計・事例を書かない
- 1投稿につき数字を必ず1つ出す
テンプレート2: 経理アシスタント
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name: 経理アシスタント
description: CSV集計・経費分類・請求書下書きを担当
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# 性格
正確第一、曖昧な概算を出さない、端数は必ず明示
# 役割
- レシート・経費CSVの勘定科目別分類
- 売上CSVの月次・担当者別集計
- 請求書・領収書の下書き
- 試算表からの前月比・前年同月比コメント
# ルール
- 金額は必ず税込・税抜を区別して表記
- 不明な勘定科目があれば推測せず質問する
- 出力はCSVまたはMarkdownテーブル形式
- 個人情報(マイナンバー等)は絶対に出力しない
テンプレート3: 議事録・文書担当
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name: 議事録担当
description: 会議議事録・社内通知文・マニュアルを担当
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# 性格
中立、発言者の意図を曲げない、決定事項を明確にする
# 役割
- 会議議事録(発言要約+決定事項+アクション)
- 社内通知文(人事・総務)
- 業務マニュアルの下書き
- 顧客向けお詫び文・案内文の下書き
# ルール
- 議事録は「日時/参加者/議題/決定事項/アクション(期限・担当)」の5セクション固定
- 発言を要約する際は「〜と発言」と引用の形を保つ
- 参加者の個人的見解と会議の決定事項を混ぜない
- お詫び文は事実と再発防止策を必ず含める
この3本を .claude/agents/ フォルダに入れるだけで、最小構成のチームが完成します。
第6章 よくある不安と答え
エージェントチームを作る前に、非エンジニアの方からよくいただく質問にお答えします。
不安1: 情報漏洩は大丈夫か
最も多い質問です。結論から言えば、エージェントチームの仕組みはClaude Code の通常利用と同じです。新しいセキュリティリスクは追加されません。エージェント定義ファイルもあなたのPC内のフォルダに置かれるだけで、外部サーバーには送信されません。
ただし、Claude Code にファイルを読ませるときは、通常通り Anthropic のサーバーに内容が送信されます。社内規定で機密情報のクラウド送信が禁止されている場合は、法人向けのZero Data Retention(データを保存しない)オプション付きプランの利用を検討してください。
不安2: 間違った答えを出したときはどうなる
エージェントは、あくまで下書きを作る役割です。最終承認は必ず人が行います。会計の数字、法的文書、顧客への正式回答などは、必ず担当者がチェックしてから送信してください。これは通常のAI活用と同じ考え方です。
エージェントチームにすることで、「誰が何をチェックすべきか」も明確になります。経理アシスタントの出力は経理担当者がチェック、マーケ担当の出力はマーケ責任者がチェック、という流れが作りやすくなります。
不安3: 追加料金はかかるか
エージェントチームそのものに追加料金は発生しません。Claude Code の月額利用料の範囲内で使えます。2026年4月時点の目安では、個人のPro プランが月額約3,000円、Claude Code を含むMax プランが月額約30,000円です。
ただし、エージェントを並行で動かすとAPIの利用量が増えるため、従量課金のAPIプランを使っている場合は月間コストが上がる可能性があります。月ごとにコストレポートを確認する習慣をつけることをお勧めします。
不安4: プログラミングの知識は本当にいらないのか
定義ファイルを書く作業は、Wordで業務マニュアルを書くのと変わりません。プログラミング言語は一切使いません。必要なのは、自社業務を日本語で説明する力です。これは非エンジニアの管理職の方のほうが得意な場合が多いです。
不安5: どこでつまずく人が多いか
私が支援した中で最も多いつまずきポイントは、「最初から完璧な定義を書こうとする」ことです。エージェント定義は後から修正できます。まずは5行程度の粗い定義でスタートし、1週間使いながら調整していくのが成功パターンです。
また、エージェントを増やしすぎる失敗もあります。最初は3人、多くても5人までに絞ることをお勧めします。10人を超えると、どのエージェントに何を頼むべきか自分が混乱します。
第7章 明日からの3つのアクション
この記事を読み終えたあと、次の3つを順番に試してみてください。
- 紙に自社の業務を書き出す(15分): 週に5回以上発生している業務を3つ選ぶ
- .claude/agents/ フォルダを作って1人目を配置(15分): 本記事のテンプレートをコピーして役割だけ書き換える
- 1週間使って気づいた点をメモ(毎日5分): 修正点が溜まったら定義ファイルを更新する
3週間続けると、あなたの会社専用のAIチームが完成します。以降は、新しい業務が発生したときにエージェントを1人ずつ足していくだけです。
まとめ
Claude Code のエージェントチームは、非エンジニアこそ恩恵が大きい仕組みです。テキストファイル1枚で専門スタッフを作れ、業務の品質が安定し、組織の知識が資産になります。最初の3人を作るのに必要なのは30分、追加コストもほぼゼロです。まずはマーケ担当・経理アシスタント・議事録担当の3人から始めてみてください。
Claude Works では、エージェントチーム設計を含むAI業務効率化研修を提供しています。自社業務をどう分担すれば良いか一緒に設計してほしい方は、無料30分相談からお気軽にどうぞ。助成金を活用した研修プランで費用を抑えた導入も可能です。実際に非エンジニアチームが Claude Code を業務に組み込んだ導入事例もぜひご覧ください。




