営業提案書を Claude Code で自動化する|1本30分かかっていた提案書を10分で仕上げる方法

冒頭

従業員20人のIT機器販売会社で、営業マネージャーをしているとする。チームには営業担当が5人。月に合計40本の提案書を出している。1本あたり30分かけてWordで作成し、上長が確認して修正し、PDFにして送る。提案書の「中身を考える時間」は10分程度だが、「体裁を整える時間」に20分かかっている。月間でチーム全体で約13時間が、フォーマット調整とコピー&ペーストに消えている計算だ。

Claude Code を使うと、この「体裁を整える20分」を大幅に短縮できる。顧客名、課題、提案内容の要点だけを伝えれば、過去のテンプレートに沿った提案書ドラフトがファイルとして出力される。

この記事で分かること:

  • Claude Code で提案書を作る仕組み(なぜ速いのか)
  • 事前に準備するもの(テンプレートと顧客情報の整理方法)
  • 実際の指示文(プロンプト)と出力例
  • 出力された提案書のチェックポイント
  • よくある不安への回答

記事の最後に、営業チーム向けの提案書プロンプトテンプレート集(Excel形式)を無料でダウンロードできる。

Claude Code で提案書を作る仕組み

Claude Code による提案書作成の仕組み

図: Claude Code による提案書作成の仕組み

Claude Code は、あなたのパソコン内のファイルを読み書きできるAIエージェントだ。Claude Code の基本的な仕組みは「Claude Code とは|非エンジニアが知っておきたい全体像と始め方」(/articles/543)で解説しているので、初めての方はそちらを先に読んでほしい。

ここでは、提案書作成に絞って説明する。

通常の提案書作成の流れ:

  1. 過去の提案書ファイルを開く
  2. 顧客名や日付を書き換える
  3. 相手企業の課題に合わせて本文を修正する
  4. 提案内容と金額を入れ替える
  5. 体裁を確認して保存する

Claude Code を使った場合:

  1. 過去の提案書テンプレートが入ったフォルダを指定する
  2. 顧客名・課題・提案内容を日本語で伝える
  3. Claude Code がテンプレートを読み込み、内容を差し替えた提案書を新しいファイルとして出力する

手順2と3で、従来の2〜5が一気に完了する。「テンプレートを開いて、名前を変えて、本文を書き換えて、体裁を確認して……」というコピー&ペースト作業が消える。

ポイントは、Claude Code が「ファイルを直接読み書きできる」という点だ。ChatGPT や Claude Cowork(ブラウザで使えるAIチャット)では、提案書の内容をチャット画面にコピーして貼り付け、出力をまたコピーしてWordに貼り直す必要がある。Claude Code ならファイルの読み込みから出力まで自動で完了する。

あなたの仕事にどう使えるか

提案書作成の従来フロー vs Claude Code フロー

図: 提案書作成の従来フロー vs Claude Code フロー

営業マネージャーの場合

営業チーム5〜10人を束ねている方。チーム全体の提案書の質を揃えたいが、1本1本をレビューする時間がない。

Claude Code にチームの「ベスト提案書」をテンプレートとして覚えさせれば、誰が作っても一定水準の構成になる。新人が書いた提案書が、ベテランのフォーマットで出てくる。レビューの手間が減り、差し戻しも減る。

たとえば月40本の提案書を出しているチームなら、1本あたり20分の短縮で月間約13時間。営業担当1人あたり月2.5時間が「顧客と向き合う時間」に変わる。

営業事務の場合

営業担当から「〇〇社向けの提案書、明日の朝までに」と頼まれる方。手書きのメモや口頭の指示をもとに、過去の提案書を探してきて体裁を整える作業をしている。

Claude Code を使えば、営業担当から受け取った情報(顧客名、課題、提案概要)を入力するだけで、テンプレートに沿ったドラフトが出力される。「明日の朝まで」が「今日の夕方には完了」に変わる。

経営者・役員の場合

自ら営業に出ている中小企業の社長。商談後に「提案書を送ります」と言ったものの、日中は別の業務に追われて、結局夜遅くまで提案書を作っている。

商談直後に、メモアプリに顧客の課題と提案内容を箇条書きするだけでいい。帰社後、Claude Code にそのメモとテンプレートを渡せば、10分で提案書ドラフトが完成する。「商談の熱が冷めないうちに提案書を送る」ことで、成約率にも影響する。

事前準備: テンプレートと顧客情報の整え方

Claude Code に提案書を作らせる前に、2つのものを準備する。

準備1: 提案書テンプレート(1〜3本)

過去に成約に繋がった提案書、または社内で「これがうちの標準フォーマット」と決まっているファイルを用意する。Word形式でもテキスト形式でもよい。

選ぶ基準:

  • 成約率が高かった提案書を優先する
  • 業種や提案内容が異なるものを2〜3パターン用意すると、幅広い案件に対応できる
  • 社内の機密情報(具体的な取引金額や顧客の詳細情報)は削除またはダミーに置き換えておく

フォルダ構成の例:

提案書テンプレート/
  テンプレートA_IT機器導入.txt
  テンプレートB_保守サービス.txt
  テンプレートC_コンサルティング.txt

テンプレートの中身はこのような構成が使いやすい:

【提案書】

宛先: [顧客名] 御中
日付: [日付]
提出者: [自社名] [担当者名]

1. 背景と課題の認識
[顧客の現状と課題をここに記載]

2. 提案内容
[具体的な提案をここに記載]

3. 導入効果
[期待される効果を数値で記載]

4. スケジュール
[導入までのスケジュール]

5. 費用
[見積金額]

6. 会社概要
[自社の基本情報]

準備2: 顧客情報ファイル

商談メモや顧客管理リストを、Claude Code が読める形で整理する。CSV(カンマ区切りファイル)やExcelが使いやすい。

最低限の項目:

  • 会社名
  • 業種
  • 従業員数(規模感が分かる程度で可)
  • 現在の課題
  • 提案したい内容

たとえばこのような形式だ:

会社名,業種,従業員数,課題,提案内容
山田製作所,製造業,45名,在庫管理がExcel手作業で月末に3日かかる,在庫管理システムの導入
鈴木法律事務所,士業,8名,契約書のレビューに時間がかかりすぎる,文書管理サービスの提案

商談直後にスマートフォンのメモアプリで箇条書きしたものでも構わない。Claude Code は「箇条書きのメモ」と「テンプレート」の両方を読んで、体裁の整った提案書に変換してくれる。

実際の使い方: ステップバイステップ

Claude Code で提案書を作成する5ステップ

図: Claude Code で提案書を作成する5ステップ

ステップ1: ファイルをフォルダに配置する

パソコンに「営業提案書」フォルダを作り、その中にテンプレートファイルと顧客情報ファイルを入れる。

営業提案書/
  テンプレート/
    テンプレートA_IT機器導入.txt
    テンプレートB_保守サービス.txt
  顧客メモ/
    山田製作所_商談メモ.txt
  出力/
    (ここに完成した提案書が保存される)

ステップ2: Claude Code を起動する

Claude Code のデスクトップアプリを起動し、「営業提案書」フォルダを作業フォルダとして指定する。

まだ Claude Code をインストールしていない方は「Claude Code とは|非エンジニアが知っておきたい全体像と始め方」(/articles/543)を先に読んでほしい。

ステップ3: プロンプトを入力する

以下のプロンプトをそのままコピーして使える。


提案書ドラフト作成
「テンプレート」フォルダにある「テンプレートA_IT機器導入.txt」を読んで、以下の情報をもとに提案書ドラフトを作って。

顧客情報:

  • 宛先: 山田製作所 御中
  • 業種: 製造業(金属部品加工)
  • 従業員: 45名
  • 課題: 在庫管理がExcel手作業で、月末の棚卸しに3日かかっている。発注ミスが月に2〜3件発生している
  • 提案内容: クラウド型在庫管理システム「〇〇」の導入
  • 導入費用: 初期費用50万円、月額3万円
  • 導入期間: 約2ヶ月

出力条件:

  • テンプレートの構成に沿って作成する
  • 「背景と課題の認識」は顧客の課題を具体的に書く
  • 「導入効果」は数値で示す(時間削減、ミス削減の目安)
  • 「です・ます調」で統一する
  • 出力先: 「出力」フォルダに「提案書_山田製作所_20260416.txt」として保存

このプロンプトで、Claude Code はテンプレートの構成を維持しながら、山田製作所の課題に合わせた本文を生成し、ファイルとして保存してくれる。

ステップ4: 出力を確認する

Claude Code が「出力」フォルダに保存したファイルを開いて確認する。チェックすべきポイントは4つ

1つ目: 顧客名・日付・自社名が正しいか。単純な差し替えミスがないか。

2つ目: 課題の記述が顧客の実態に合っているか。Claude Code は入力情報をもとに文章を膨らませるが、実際に商談で聞いた内容と食い違っていないか。

3つ目: 提案内容と金額が正確か。特に金額は、入力した数字がそのまま反映されているか必ず確認する。AIは数字の取り扱いでミスすることがある。

4つ目: 自社の強みや実績の記述に嘘がないか。Claude Code はテンプレートの情報をもとに書くが、存在しない導入実績や資格を付け加えてしまうことが稀にある。

ステップ5: 微調整して完成

確認で見つかった修正点は、Claude Code に追加指示を出して直してもらえる。


修正指示
さっき作った山田製作所の提案書について、以下を修正して。
  1. 「導入効果」のセクションに「月末の棚卸し作業が3日から1日に短縮」という記述を追加して
  2. 「スケジュール」を「2026年5月〜6月」の具体的な日程に変えて
  3. 文末の会社概要に、当社の所在地「東京都中央区〇〇」を追加して

修正後、同じファイルに上書き保存して。


修正が済んだら、あとはWordやPDFに変換して送付するだけだ。

応用: 複数の提案書を一括で作る

提案書が月に10本以上ある場合、1本ずつ指示を出すのも手間になる。顧客情報をCSVファイルにまとめておけば、一括で処理できる。


一括作成
「顧客メモ」フォルダにある「今週の提案先リスト.csv」を読んで。各行の顧客情報をもとに、「テンプレート」フォルダの該当するテンプレートを使って提案書ドラフトを作って。

CSVの列:

  • 会社名、業種、従業員数、課題、提案内容、テンプレート名

出力条件:

  • 1社につき1ファイル
  • ファイル名: 「提案書_[会社名]_20260416.txt」
  • 出力先: 「出力」フォルダ
  • 各提案書は「です・ます調」で統一

5社分の提案書なら、この1回の指示で5ファイルが「出力」フォルダに保存される。1社30分×5社=150分かかっていた作業が、入力10分+確認25分(1社5分×5社)=35分で終わる計算だ。

まとめ

Claude Code を使えば、提案書の「体裁を整える時間」を大幅に短縮できる。過去の成功テンプレートを登録し、顧客情報と提案の要点を日本語で入力するだけで、構成の整ったドラフトが出力される。1本30分かかっていた作業が10分で終わる。月に40本作るチームなら、月間13時間をもっと価値のある活動に使える。まずは1本、次の商談の提案書で試してみてほしい。

特典

営業チーム向けの提案書プロンプトテンプレート集を用意した。IT機器販売、コンサルティング、保守サービス、SaaS提案の4業種分のプロンプト例と、顧客情報の整理用Excelテンプレートが入っている。チーム全員に配って、今日から使い始められる。

→ 営業提案書プロンプトテンプレート集(Excel) をダウンロードする(無料) /resources

参考リファレンス

  • Anthropic 公式サイト: claude.ai
  • Claude Works 関連記事:「Claude Code とは|非エンジニアが知っておきたい全体像と始め方」(/articles/543)
  • Claude Works 関連記事:「総務担当者のための Claude Code 活用術|議事録・報告書・社内文書を半分の時間で仕上げる方法」(/articles/542)