会議45分+議事録45分=90分、これを終わらせたい
「会議のあとに議事録を書く時間が、会議と同じくらいかかっている」——従業員30名のIT商社で営業管理をしている方から聞いた言葉です。
週に5回の定例や商談があれば、議事録だけで週に4時間近く消えている計算です。しかも手書きメモから起こすので、決定事項の抜け漏れも出る。この「会議のあと仕事」を自動化したくて、tl;dvのようなAI議事録ツールを検討する方が増えています。
tl;dvは確かに優秀なツールです。ただし月額**$20/人〜かかる。営業チーム5人で使えば月に$100(約15,000円)**。年間18万円です。「まず試したいだけなのに、いきなり全員分のライセンスを買うのはハードルが高い」という声もよく聞きます。
本記事では、Google Meetの録画機能(Google Workspace有料プランに含まれる)+Claude(AI)で、tl;dvと同等の議事録システムを追加コスト0円で構築する方法を解説します。エンジニアの手を借りる必要はありません。コピペで使えるプロンプトテンプレート5種類もそのまま載せています。
記事の最後に、会議45分+議事録45分=90分が、会議45分+AI要約1分+確認3分=49分に変わるBefore/Afterも示します。
tl;dvとは何か——できることと費用の整理
tl;dvは、オンライン会議を自動で録画・文字起こし・AI要約してくれるSaaSツールです。Google MeetやZoomと連携し、次の機能を提供します。
- 自動録画: 会議に参加すると自動で録画開始
- 自動文字起こし: 発言者ごとにテキスト化
- AI要約: 会議全体のサマリーを自動生成
- ハイライト切り出し: 重要な発言を動画クリップとして切り出し
- CRM連携: HubSpotやSalesforceに議事録を自動送信
- 共有リンク: 議事録ページのURLを関係者に送れる
料金プランは**無料版(録画のみ、AI要約なし)と有料版(月額$20/人〜、AI要約・CRM連携あり)**に分かれます。AI要約を使うには有料プランが必須です。
tl;dvの強みは「全自動」であること。会議を始めるだけで、あとはすべて自動で処理されます。一方で、テンプレートが固定で出力形式をカスタマイズしにくい、全員分のライセンスコストが積み上がるという課題もあります。
この「全自動」のうち、録画・文字起こしはGoogle Meet自体が持っている機能で代替でき、AI要約はClaude(Cowork)が得意な領域です。以下、その組み合わせ方を4ステップで説明します。
Google Meet録画の準備——管理コンソールで有効化する
構築の前に、Google Meetの録画機能が使える状態になっているか確認します。
必要なプラン
Google Meetの録画機能と文字起こし機能は、Google Workspace Business Standard以上のプランで利用できます。個人向けの無料Googleアカウントや、Business Starterプランでは使えません。
すでにGoogle Workspaceの有料プランを契約している会社であれば、追加費用なしで録画・文字起こしの両方が使えます。
管理コンソールでの有効化手順
- Google Workspace管理コンソール(admin.google.com)にアクセス
- 「アプリ」→「Google Workspace」→「Google Meet」を選択
- 「録画」の設定を確認し、「ユーザーに会議の録画を許可する」がオンになっていることを確認
- 「文字起こし」の設定も同様にオンにする
- 変更を保存
管理者権限がない場合は、社内のIT担当または管理者に「Google Meetの録画と文字起こしを有効にしてほしい」と依頼してください。設定自体は1分で終わります。
録画データの保存先
録画を開始すると、会議終了後に主催者のGoogle Driveの「Meet Recordings」フォルダに自動保存されます。録画ファイル(MP4)と文字起こしファイル(Googleドキュメント)の2つが生成されます。手動でダウンロードやコピーをする必要はありません。
4ステップで構築する「Google Meet+Claude」議事録システム

図: Google Meet録画→Claude議事録の4ステップ
ここからが本題です。4つのステップで、tl;dvに近い議事録システムが作れます。
Step 1: Google Meetで録画を開始する
会議を始めたら、画面下部の「アクティビティ」アイコン(丸いアイコン)→「録画」→「録画を開始」をクリックします。ボタンを1回押すだけです。
参加者全員に「この会議は録画されています」という通知が表示されます。録画の開始と終了は、会議の主催者または共同主催者が操作できます。
録画を忘れそうな場合は、Googleカレンダーの予定に「録画をオンにする」メモを追加しておくと便利です。
Step 2: 会議終了後、Google Driveに自動保存される
会議が終わると(または手動で録画を停止すると)、数分以内に次の2つのファイルがGoogle Driveに自動保存されます。
- 録画ファイル(MP4): 会議の映像と音声
- 文字起こしファイル(Googleドキュメント): 発言内容がテキスト化されたもの
文字起こしファイルには、発言者名とタイムスタンプが付いています。これがそのまま議事録の素材になります。主催者のメールアドレスにもGoogle Driveのリンクが届くので、見逃す心配はありません。
Step 3: 文字起こしテキストをClaudeにコピペする
Google Driveの文字起こしファイルを開き、テキストを全選択(Ctrl+A / Cmd+A)してコピーします。次に、Claude(claude.ai のCowork、またはClaude Proプラン)を開き、テキストを貼り付けます。
文字起こしの分量は、1時間の会議で約8,000〜15,000文字程度です。Claudeの入力上限はこれを大きく上回るため、会議が2時間以上の長丁場でも問題ありません。
Step 4: プロンプトで構造化議事録に変換する
貼り付けた文字起こしテキストに続けて、下の「プロンプトテンプレート」をコピペして送信します。約30秒〜1分で構造化された議事録が返ってきます。
返ってきた議事録は、GoogleドキュメントやNotionにそのまま貼り付けて共有できます。Slackに投稿してもOKです。
ここまでの作業時間は、Step 3(コピペ)が30秒、Step 4(プロンプト送信〜結果取得)が1分、合計約1分半です。あとは内容を目で確認して、必要なら微修正するだけです。
5つの会議タイプ別プロンプトテンプレート
会議の種類によって、議事録に必要な項目は違います。以下の5テンプレートをそのままコピペして使ってください。文字起こしテキストを貼り付けた直後に、テンプレートを続けて入力するだけで動きます。
テンプレート1: 定例会議(週次・月次)
上記は定例会議の文字起こしです。以下の形式で議事録を作成してください。
# 議事録
- 会議名:
- 日時:
- 参加者:
## 報告事項(誰が何を報告したか、箇条書き)
## 決定事項(何が決まったか、担当者・期限を明記)
## 未決事項・持ち越し(次回までに確認が必要な項目)
## ネクストアクション(誰が・何を・いつまでに)
注意: 発言者名を正確に記載し、曖昧な表現は避けてください。
テンプレート2: 商談・営業会議
上記は商談の文字起こしです。以下の形式で議事録を作成してください。
# 商談議事録
- 日時:
- 参加者(自社 / 先方):
- 先方の会社名・部署:
## 先方のニーズ・課題(発言から抽出)
## 先方の反応・温度感(ポジティブ / ネガティブ / 保留、具体的な発言を引用)
## 提案内容と先方の反応
## 競合・比較の話題(出た場合のみ)
## 次のステップ(誰が・何を・いつまでに)
## フォローアップメモ(営業担当が次回までにやるべきこと)
注意: 先方の発言はできるだけ原文に近い形で引用してください。
テンプレート3: 1on1(上司と部下)
上記は1on1ミーティングの文字起こしです。以下の形式で議事録を作成してください。
# 1on1 議事録
- 日時:
- 参加者:
## 業務の進捗・成果
## 困っていること・相談事項
## 上司からのフィードバック・アドバイス
## キャリア・成長に関する話題(出た場合のみ)
## 合意事項・約束
## 次回までのアクション
注意: デリケートな内容は要約にとどめ、発言の引用は最小限にしてください。
テンプレート4: ブレインストーミング
上記はブレストミーティングの文字起こしです。以下の形式で議事録を作成してください。
# ブレスト議事録
- テーマ:
- 日時:
- 参加者:
## 出たアイデア一覧(発言者名つき、番号付きリスト)
## 特に盛り上がったアイデア(議論が深まったもの上位3つ)
## 反対意見・懸念点が出たもの
## 次のステップ(どのアイデアを深掘りするか、担当者)
注意: アイデアは出た順番で記録し、評価や優先順位は参加者の発言に基づいてください。
テンプレート5: 全社会議・キックオフ
上記は全社会議の文字起こしです。以下の形式で議事録を作成してください。
# 全社会議 議事録
- 日時:
- 発表者:
- 参加人数:
## 経営メッセージ・方針の要約(3〜5行)
## 各部門からの報告(部門ごとに箇条書き)
## 質疑応答(質問と回答のペア)
## 全社に関わる決定事項・変更点
## 社員が知っておくべきポイント(3つに絞る)
注意: 経営方針に関する発言は正確に記録してください。数字(売上、目標等)は原文のまま記載。
どのテンプレートを使うか迷ったら、定例会議のテンプレート1から始めてください。ほとんどの会議はこれでカバーできます。慣れてきたら、自社の会議スタイルに合わせてテンプレートをカスタマイズしていくのがお勧めです。
tl;dv vs Google Meet+Claude——機能比較表

図: tl;dv vs Google Meet+Claude 機能比較
両方の仕組みを並べて比較します。
| 機能 | tl;dv(有料プラン) | Google Meet+Claude |
|---|---|---|
| 録画 | 自動(会議開始時) | ボタン1つ(手動で開始) |
| 文字起こし | 自動(発言者識別あり) | 自動(Workspace標準機能) |
| AI要約 | 自動(会議終了後すぐ) | Claudeに手動で依頼(約1分) |
| ハイライト切り出し | 自動(動画クリップ生成) | 非対応 |
| CRM連携 | HubSpot / Salesforce対応 | 非対応(手動コピーで代替) |
| 出力形式のカスタマイズ | テンプレート固定 | プロンプトで自在に変更可能 |
| 月額費用 | $20/人〜 | Workspace費用内(追加0円) |
| 5人チームの年間コスト | 約18万円 | 0円 |
| 導入の手軽さ | アカウント登録のみ | 管理コンソール設定+Claude |
| 対応プラットフォーム | Google Meet / Zoom / Teams | Google Meetのみ |
tl;dvが優れている点: 全自動であること、ハイライト動画の切り出し、CRM連携。特にSalesforceやHubSpotに自動で議事録を送りたい営業チームには、tl;dvのほうが手間が少ないです。
Google Meet+Claudeが優れている点: コストが0円であること、プロンプトで出力形式を自在にカスタマイズできること。会議タイプごとに議事録の項目を変えたい、自社独自のフォーマットに合わせたい場合は、こちらのほうが柔軟です。
判断基準は明確です。CRM自動連携が必須ならtl;dv、コストを抑えてカスタマイズしたいならGoogle Meet+Claude。まずは無料のGoogle Meet+Claudeで試して、全自動が必要だと感じたらtl;dvに移行するのが、リスクの少ない進め方です。
自動化の次のステップ——Google Apps Scriptで完全自動化する
ここまでの手順は「文字起こしをコピペする」という手動作業が1つ残っています。これをゼロにしたい場合は、**Google Apps Script(GAS)**を使って自動化できます。
Google Apps Scriptは、Googleのサービス(Drive、Gmail、Sheetsなど)を自動操作するための仕組みです。無料で使えて、プログラミングの知識がなくてもテンプレートをコピーすれば動かせます。
自動化の流れは以下の通りです。
- Google Driveの「Meet Recordings」フォルダを監視
- 新しい文字起こしファイルが追加されたら自動で検知
- ファイルの中身を取得し、Claude API(Anthropicが提供するプログラム連携用の窓口)に送信
- 返ってきた議事録をGoogleドキュメントとして保存
- Slackやメールで関係者に通知
この自動化は、社内にGASを触れる人がいれば半日〜1日で構築できます。外部に依頼する場合でも、仕様が明確なので5〜10万円程度で実現可能です。
詳しい手順は上級者向けになるため本記事では割愛しますが、「GASで自動化したい」というご相談は無料30分相談で対応しています。
Before / After——数字で見る効果
実際にこの仕組みを導入した場合の時間変化を示します。
Before(従来の手動議事録)
| 工程 | 所要時間 |
|---|---|
| 会議参加 | 45分 |
| メモを見返して議事録作成 | 40分 |
| 関係者に確認・修正依頼 | 5分 |
| 合計 | 90分 |
After(Google Meet録画+Claude要約)
| 工程 | 所要時間 |
|---|---|
| 会議参加(録画ボタンを押すだけ) | 45分 |
| 文字起こしをClaudeにコピペ+要約生成 | 1分 |
| 議事録の確認・微修正 | 3分 |
| 合計 | 49分 |
1回の会議あたり41分の削減です。週5回の会議がある人なら、週に約3.4時間、月に約14時間、年間で約170時間が浮きます。時給3,000円換算で年間51万円相当です。
しかも手動メモと違い、文字起こしが元になっているため決定事項やアクションアイテムの抜け漏れがほぼゼロになります。「あの会議で何が決まったんだっけ」という後日の確認作業も減ります。
まとめ——まず1回の定例会議で試してみる
Google Meetの録画+文字起こし機能と、ClaudeのAI要約を組み合わせれば、tl;dvの月額$20/人を払わずに、同等の議事録システムが構築できます。
やることは4つだけです。
- Google Meetで録画ボタンを押す
- 会議後、Google Driveの文字起こしファイルを開く
- テキストをClaudeにコピペする
- プロンプトテンプレートを送信する
所要時間は合計1分半。まずは次の定例会議1回で試してください。1回やれば「これは使える」と実感できるはずです。
議事録だけでなく、Claude(Cowork)を使った業務効率化の全体像を学びたい方は、非エンジニア向けClaude研修をご覧ください。Google Meetの議事録プロンプトのカスタマイズも研修の中でカバーしています。
また、**IT導入補助金(最大450万円)**を使えば研修費用の最大3/4が補助対象になります。詳しくは補助金活用ガイドをご確認ください。
AI議事録の活用事例については、AI議事録の関連記事も併せてお読みください。他の導入企業の事例は導入事例ページでご紹介しています。
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