AI 議事録ツール比較 2026|管理職が選ぶべきはどれか? 主要5サービスを実務目線で解説
冒頭
従業員40人のIT商社で管理部門を統括している方が、こんな悩みを抱えていた。「議事録が属人化している。部下3人がそれぞれ違うフォーマットで書いてくるし、1本あたり40分かかっている。AI で何とかならないか」。
Google で「AI 議事録」と検索すると、何十ものサービスが出てくる。Notta、AI GIJIROKU、tl;dv、CLOVA Note、Otter、それに Claude。どれも「議事録を自動化できます」と謳っているが、管理職として本当に知りたいのは「うちのチームにはどれが合うのか」だ。
この記事では、2026年4月時点で日本の中小企業で実際に使われている主要5ツールを、料金・日本語精度・会議ツール連携・セキュリティの4軸で比較する。読み終わるころには、あなたのチームに最適なツールが1つに絞れるはずだ。記事の最後に、比較一覧表のPDFを用意している。
AI 議事録ツールの2つのタイプを理解する

図: AI 議事録ツールの2つのタイプ
AI 議事録ツールは、大きく2つのタイプに分かれる。この違いを理解しないと、自分に合ったツールを選べない。
タイプ1: 自動録音・文字起こし型。会議ツール(Zoom、Google Meet、Microsoft Teams など)と連携して、会議に自動で参加し、録音から文字起こし、要約までを一気通貫で行うツールだ。Notta、AI GIJIROKU、tl;dv、CLOVA Note がこのタイプに該当する。
タイプ2: 汎用AI活用型。AI アシスタントに、自分でメモや文字起こしテキストを貼り付けて議事録を生成してもらうタイプ。Claude Cowork がこれに該当する。議事録専用ツールではないが、議事録作成に非常に強い。
一見すると「自動で全部やってくれるタイプ1のほうが楽では?」と思うかもしれない。実際にそうなるケースも多いが、対面会議が多い会社や、議事録のフォーマットにこだわりがある会社では、タイプ2のほうが使いやすいこともある。
それぞれの特徴を見ていこう。
比較する5つのツール
今回比較するのは、以下の5つだ。
- Claude Cowork(Anthropic 提供): 汎用AIアシスタント。メモを貼り付けて議事録を生成する。
- Notta(Notta Inc. 提供): AI 文字起こし・議事録サービス。日本語に強い。
- AI GIJIROKU(オルツ提供): 日本発の AI 議事録サービス。Zoom 連携が強み。
- tl;dv(tl;dv 提供): 海外発の会議録画・要約ツール。Zoom / Google Meet / Teams 対応。
- CLOVA Note(LINE 提供): 無料で使える AI 文字起こしアプリ。スマホ対応が強み。
料金比較
管理職として最初に気になるのは料金だろう。チーム全体で導入する場合の月額コストを比較する。以下の料金は2026年4月時点の情報だ。為替レートは1ドル=約150円で計算している。
Claude Cowork(Pro プラン): 月額約3,000円/人。ただし、議事録だけでなくメール作成、資料要約、データ分析など汎用的に使える。議事録だけのためのコストではない点が特徴。
Notta: 無料プランあり(月120分の文字起こし)。ビジネスプランは月約2,200円/人(年間契約の場合)。月間契約だと月約2,900円/人。
AI GIJIROKU: 月額約1,500円/人〜。プランによって録音時間や機能が異なる。法人プランは個別見積もり。
tl;dv: 無料プランあり(録画・文字起こしは可能、AI要約は制限あり)。Pro プランは月約$25/人(約3,750円)。
CLOVA Note: 基本無料。月300分までの文字起こしが無料で使える。有料プランは月約1,100円。
5人のチームで導入した場合の月額コストを試算するとこうなる。
- Claude Cowork Pro(5人): 月15,000円
- Notta ビジネス(5人・年契約): 月11,000円
- AI GIJIROKU(5人): 月7,500円〜
- tl;dv Pro(5人): 月18,750円
- CLOVA Note 無料(5人): 0円
ただし、Claude Cowork は議事録以外の業務にも使えるため、単純な料金比較だけでは判断できない。すでに Claude を他の業務で使っている場合、議事録のための追加コストはゼロだ。
日本語の文字起こし精度
議事録の品質は、文字起こしの精度に直結する。日本語の文字起こしは、英語に比べて難易度が高い。同音異義語が多く、敬語や業界用語が入り混じるためだ。
各ツールの日本語精度の実感をまとめる。
Claude Cowork: 文字起こし機能はない(自分でメモや文字起こしテキストを用意する必要がある)。ただし、多少誤字脱字があるメモからでも文脈を理解して正確な議事録を生成する力は非常に高い。
Notta: 日本語の文字起こし精度が高い。専門用語の辞書登録機能があり、社内独自の用語にも対応できる。話者の識別(誰が発言したかの自動判定)にも対応。
AI GIJIROKU: 日本語に特化して開発されたサービス。業界別の音声認識モデルがあり、医療・法律・金融などの専門用語にも比較的強い。
tl;dv: 日本語にも対応しているが、もともとは英語圏向けに開発されたサービス。日本語の精度は Notta や AI GIJIROKU に比べるとやや劣る印象がある。専門用語が多い会議では誤認識が増えることがある。
CLOVA Note: LINE の音声認識技術がベース。日常会話レベルの日本語であれば十分な精度。ただし、業界用語や固有名詞の認識は弱め。辞書登録機能が限定的。
会議ツールとの連携
オンライン会議が中心の会社では、Zoom、Google Meet、Microsoft Teams との連携が重要になる。
Claude Cowork: 会議ツールとの直接連携はない。会議の録音や文字起こしは別のツールで行い、そのテキストを Claude に貼り付けて議事録を作る。対面会議でメモだけで議事録を作るスタイルとの相性が良い。
Notta: Zoom、Google Meet、Microsoft Teams、Webex に対応。会議URLを設定すると、AI ボットが自動で会議に参加し、録音・文字起こしを行う。会議後すぐに要約が生成される。
AI GIJIROKU: Zoom との連携が特に強い。Zoom アプリとして動作し、録音・文字起こし・要約をリアルタイムで行う。Google Meet、Teams にも対応。
tl;dv: Zoom、Google Meet、Microsoft Teams に対応。会議の録画と文字起こしを自動で行い、重要な発言にタイムスタンプを付けてくれる。動画で「あの発言の場面」を後から確認できるのが特徴。
CLOVA Note: 会議ツールとの自動連携は限定的。スマホアプリで録音し、文字起こしを行うスタイルが基本。対面会議やスマホで録音する運用に向いている。
セキュリティと情報管理
管理部門として見逃せないのがセキュリティだ。会議の内容には、未公開の経営情報、人事情報、取引先の機密情報が含まれることがある。
Claude Cowork: Pro プラン以上では入力データが AI の学習に使われない。データは Anthropic のサーバー(米国)で処理される。Team プラン(月約4,500円/人)では、法人契約としてデータ保護が保証される。
Notta: エンタープライズプランでは、データの暗号化、アクセス権限管理、監査ログに対応。サーバーは日本国内にもある(プランによる)。SOC 2 Type II 認証を取得。
AI GIJIROKU: 日本法人が運営。データは日本国内のサーバーで処理される(プランによる)。法人向けにはオンプレミス(自社サーバー設置)版もある。
tl;dv: GDPR(EU の個人情報保護法)に準拠。データは EU のサーバーで処理される。日本国内のデータ保管を求める場合はやや不利。
CLOVA Note: LINE の基盤を使用。個人利用向けの設計が中心で、法人向けのセキュリティ認証は限定的。機密性の高い会議への利用は、社内セキュリティポリシーとの照合が必要。
ツール別の向き不向きまとめ
ここまでの比較を踏まえて、各ツールが「どんなチームに向いているか」を整理する。
Claude Cowork が向いているチーム:
- 対面会議が多い(録音ではなくメモベースで議事録を作る)
- 議事録のフォーマットに独自のこだわりがある
- 議事録だけでなく、メール・資料作成・データ分析にも AI を使いたい
- すでに Claude を他の業務で導入済み
Notta が向いているチーム:
- オンライン会議が中心で、自動録音・文字起こしを求めている
- 日本語の専門用語が多い会議がある
- チーム全員がツールを使いこなす必要がある(UIが分かりやすい)
- データを日本国内のサーバーに保管したい
AI GIJIROKU が向いているチーム:
- Zoom を主に使っている
- 日本語に特化した高精度の文字起こしが必要
- 法人契約でセキュリティ要件を満たしたい
- オンプレミス環境での運用を検討している
tl;dv が向いているチーム:
- 会議の「録画」を残したい(文字起こしだけでなく動画で振り返りたい)
- 海外拠点があり、英語の会議も多い
- 重要な発言をタイムスタンプで管理したい
CLOVA Note が向いているチーム:
- まずは無料で試したい
- 対面会議でスマホ録音から文字起こしをしたい
- 議事録の頻度が月に数回程度で、高度な機能は不要
- 予算をかけずに個人レベルで使い始めたい
管理職としての選び方 — 3つの判断軸

図: あなたのチームに合うツールの選び方
比較表を見ても決められない場合は、この3つの軸で判断してほしい。
軸1: 会議の形式。オンライン会議が8割以上なら、自動録音・文字起こし型(Notta、AI GIJIROKU、tl;dv)が便利だ。対面会議やハイブリッド会議が多いなら、メモベースの Claude Cowork か、スマホ録音の CLOVA Note が使いやすい。
軸2: すでに Claude を使っているか。メール作成、資料要約、データ分析などで Claude をすでに業務に使っているなら、議事録も Claude Cowork でまかなえる。新たにツールを増やす必要がない。ツールが増えると管理の手間も増えるので、1つで完結するメリットは大きい。
軸3: セキュリティ要件。「データは日本国内のサーバーに置きたい」「監査ログが必要」「オンプレミスで運用したい」といった要件がある場合は、Notta のエンタープライズプランや AI GIJIROKU の法人プランが選択肢になる。そこまでの要件がなければ、Claude Cowork の Team プランで十分なケースが多い。
組み合わせて使うという選択肢
実は、ツールを1つに絞る必要はない。実務では「文字起こしは専用ツール、議事録の構造化は Claude」という組み合わせが効果的なケースがある。
具体的にはこういう使い方だ。
- オンライン会議は Notta や CLOVA Note で自動録音・文字起こしをする
- 文字起こしテキストを Claude Cowork に貼り付ける
- Claude Cowork に、自社フォーマットの議事録に整形してもらう
この方法なら、文字起こしの精度は専用ツールの高精度なものを使いつつ、議事録のフォーマットや要約の質は Claude の強力な文章処理能力を活かせる。
CLOVA Note(無料)+ Claude Cowork Pro(月約3,000円)の組み合わせなら、月3,000円で高品質な議事録環境が手に入る。Claude Cowork で議事録を作る具体的な手順は「議事録を会議の直後に仕上げる」(/articles/505)で詳しく解説している。
まとめ
AI 議事録ツールは「自動録音・文字起こし型」と「汎用AI活用型」の2タイプがある。オンライン会議中心なら Notta や AI GIJIROKU、対面会議中心やフォーマットへのこだわりがあるなら Claude Cowork が向いている。コストを抑えるなら CLOVA Note + Claude Cowork の組み合わせも有効だ。まずは1つのツールを1週間試し、自分のチームの会議スタイルに合うかどうかを確かめてほしい。
特典
今回比較した5ツールの料金・機能・向き不向きを1枚にまとめた比較一覧表(PDF)を用意した。社内での検討会議やチームへの説明資料としてそのまま使える。
→ AI 議事録ツール比較一覧表をダウンロードする(無料) /resources
参考リファレンス
- Notta 公式サイト(notta.ai)
- AI GIJIROKU 公式サイト(gijiroku.ai)
- tl;dv 公式サイト(tldv.io)
- CLOVA Note 公式サイト(clovanote.line.me)
- Claude Works 関連記事: 「議事録を会議の直後に仕上げる|Claude Cowork で週5時間の手作業をなくす方法」(/articles/505)
- Claude Works 関連記事: 「Claude Cowork とは」(/articles/503)
- Claude Works 関連記事: 「Claude 料金プラン完全ガイド」(/articles/506)
- Claude Works 関連記事: 「法人向け AI ツール比較 2026」(/articles/516)




