Claudeを社内で使い始めたら想像以上によくて、Anthropicの株を買ってみたいと調べたのですが、証券会社の画面に出てこないんです。どこで買えますか。従業員52名の製造業の社長から、こういう相談をいただくことがあります。

結論を先に言います。2026年7月時点で、Anthropicの株は証券会社では買えません。まだ上場していないからです。 ただし、この話は2026年6月に大きく動きました。Anthropicは6月1日、米国の証券取引委員会(SEC)に上場のための書類を提出しています。

この記事では、6月に何が起きたのか、いつ買えるようになりそうなのか、それまで個人や中小企業が取れる選択肢は何か、そして未公開株の勧誘という形で出てくる詐欺への注意点を、投資の専門用語を避けて整理します。最後に、株を買うより確実にリターンが出る関わり方についても踏み込みます。

なお本記事は事実の整理であり、特定の銘柄を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

Anthropicと株の関係を3層で理解する

2026年6月1日、AnthropicはIPOを申請した

まず、最新の事実から押さえます。

Anthropic PBCは2026年6月1日、株式の新規公開(IPO)に向けて、Form S-1という登録届出書のドラフトをSECに機密提出したと公式に発表しました。S-1とは、米国で上場する会社が事業内容や財務状況を開示するための書類です。

ここで出てくる機密提出(confidential submission)という言葉は、1行で説明できます。書類の中身を一般公開する前に、SECの審査を先に始めてもらえる制度です。 上場を確約するものではなく、上場の準備段階に入ったという意味合いになります。

現時点で分かっているのは、次のとおりです。

  • 提出日は2026年6月1日。Anthropic自身が公式サイトで発表しています
  • 上場する取引所、時期、株価、発行株数は、いずれもまだ決まっていません
  • 各種報道では最短で2026年秋という観測が出ていますが、確定した情報ではありません。市場環境次第で後ろ倒しになりえます
  • 1週間後の6月8日には、競合のOpenAIも同様に機密提出を行っています

つまり、あなたが証券口座でAnthropicの株を買えるようになる可能性は出てきましたが、まだその時期は誰にも分かりません。

「PBCだから上場しない」は、もう成り立たない

Anthropicの正式名称はAnthropic PBCです。PBCとはPublic Benefit Corporation(公益事業会社)の略で、米国デラウェア州の会社法が定める会社形態です。

普通の株式会社では、経営者は株主の利益を最大化する義務を負います。PBCは、それに加えて定款(会社の設計図)に公益目的を明記し、経営判断でその公益を考慮することが法的に義務づけられます。Anthropicが掲げる公益は、人類の長期的な安全に資するAIの研究と開発です。

この形態について、以前は「PBCは短期利益の圧力と相性が悪いので上場しない」という説明がよくされていました。私も以前はそう書いていました。しかし2026年6月の申請で、この説明は成り立たなくなりました。

そもそも、PBCのまま上場している会社はすでに複数あります。 眼鏡のWarby Parker、シューズのAllbirds、保険のLemonadeは、いずれもデラウェア州のPBCとして株式を公開しています。PBCは非営利団体ではなく営利企業であり、利益も配当も出せます。上場を妨げる制度ではありません。

普通の株式会社とPBCの違い

Anthropicの場合、PBCに加えて Long-Term Benefit Trust という仕組みも持っています。これは、安全性を重視する立場から取締役の一部を選任できる信託です。上場後も短期の利益圧力だけで経営が振れないようにする設計、と理解しておけば十分です。

会社としての成り立ちや、OpenAIとの違いをもう少し詳しく知りたい場合はAnthropic PBCとは|Claudeを開発する会社の正体と、OpenAIとの本当の違いにまとめています。

会社の値段はいくらか|評価額は未上場として世界最高水準

上場していない会社にも値段はあります。資金調達のたびに算出される企業評価額から推定できます。2026年7月時点で公表されている主な数字は次のとおりです。

時期 出来事 企業評価額
2021年 Dario Amodei・Daniela Amodei 兄妹が創業(いずれも元OpenAI)
2023年9月 Amazonが最大40億ドルの出資を発表
2024年11月 Amazonが追加40億ドルを発表(累計80億ドル)
2026年2月 シリーズGで300億ドルを調達 3,800億ドル
2026年5月 シリーズHで650億ドルを調達 9,650億ドル

9,650億ドルは、1ドル150円換算でおよそ145兆円です。この時点でOpenAIの評価額を上回り、未上場企業として世界最高の評価額になりました。

収益面では、2026年5月時点で年間換算の経常収益が470億ドル規模に到達したと公表されています。前年の年間収益が100億ドル規模だったことを考えると、伸び方が急であることが分かります。

経営者のあなたにとって、この数字の使いどころは1つです。Claudeを業務に組み込んでも、サービスが数年で消えるリスクは現時点では低い。 稟議で「そのAI、すぐなくなるんじゃないの」と言われたときに出せる材料になります。

上場までの間、個人が取れる3つのルート

Anthropicの株を直接買えるようになるのは、早くても上場後です。それまでの間に取れる間接的なルートは3つあります。いずれもAnthropicの価値だけに連動するわけではない点に注意してください。

上場前にAnthropicへ間接的に関わる3ルート

ルート1: Amazon(銘柄コード AMZN)

AmazonはAnthropicの最大の外部投資家で、累計80億ドルを出資しています。日本の主要ネット証券で米国株として買えます。

ただしAmazonの株価は、Eコマース、クラウド(AWS)、広告、物流という巨大な他事業の影響を強く受けます。Anthropicの評価が上がっても、株価がそのぶん動くとは限りません。

ルート2: Alphabet(銘柄コード GOOGL)

GoogleもAnthropicに複数回にわたって出資しています。こちらも同様に、検索・広告・YouTube・クラウドという本業の影響が主です。

ルート3: AI関連のETF

ETFはExchange Traded Fund(上場投資信託)の略で、複数企業の株をまとめて持てる金融商品です。AI関連のETFには、Amazon・Alphabet・Nvidiaなどを組み入れているものがあります。1社に絞らず広く分散したい場合の選択肢になります。

上場したら、直接買えるようになるのか

上場が実現すれば、日本の証券会社の米国株取引を通じて買える可能性が高くなります。ただし、どの証券会社が取り扱うかは各社の判断です。上場直後は値動きが大きくなりやすいという一般的な傾向もあります。時期も価格も未定である以上、いま計画を立てられる段階ではありません。

未公開株の勧誘には手を出さない

ここは経営者として、はっきり知っておいてほしい部分です。

IPOの申請が報じられると、「上場前のAnthropic株を特別に譲ります」といった勧誘が必ず出てきます。 電話、SNSのダイレクトメッセージ、投資セミナーなど、経路はさまざまです。

現時点で、一般の個人投資家がAnthropicの未公開株を正規に購入できる仕組みはありません。機密提出の段階では、目論見書すら公開されていません。上場前の株を買えると持ちかけてくる相手がいたら、まず疑ってかかるのが安全です。金融庁に登録のない業者による未公開株の勧誘は、詐欺の典型的な手口として繰り返し注意喚起されています。

上場していない会社の株を、見知らぬ相手から買う理由はどこにもありません。

株を買うより投資対効果が高い「第4のルート」

ここまで3つのルートを見てきましたが、中小企業の社長や個人事業主にとって、もっと現実的で効果が読めるのは別の関わり方です。Claudeを業務で使い倒すことです。

数字で比べてみます。

項目 金額・時間
Claude Proプラン 月額20ドル(約3,000円)
担当者3人分で契約した場合 月額60ドル(約9,000円)
期待できる作業時間の削減 担当者1人あたり月10〜20時間
3人合計の削減時間 月30〜60時間
時給3,000円換算の金額 月9〜18万円相当

年間にすると100万〜200万円規模のコスト削減になります。株で同じリターンを得ようとすれば、数百万円を投じたうえで株価が大きく上昇する必要があり、しかもそれは自分の力では動かせません。

一方、月次レポート、議事録、契約書のレビュー、メールの下書きにかかる時間を削るのは、今日から始められて、成果が自分の手の内にあります。株価の値上がりを待つより、実働時間を削るほうが確実で早い。 これが私の勧める第4のルートです。

上の試算は一般的な目安です。実際の削減幅は業務内容によって変わります。プランと料金の全体像はClaude プラン完全ガイド|Free・Pro・Max・Team・Enterprise を非エンジニア向けに徹底比較、会社として複数人で導入する場合はClaude Teamプラン 企業向け完全ガイド、まず何ができるのかを知りたい場合はClaude Cowork とは|非エンジニアのための「話すだけで仕事が進むAI」入門ガイドを参照してください。

よくある質問

Anthropicはいつ上場しますか

2026年6月1日にSECへ機密提出を行った段階です。上場の時期、価格、取引所はいずれも未定です。報道では最短で2026年秋という観測がありますが、Anthropic自身は時期を明言しておらず、市場環境次第としています。

上場したら日本の証券会社で買えますか

上場すれば、米国株を扱う日本の証券会社を通じて買える可能性が高くなります。ただし取り扱いの可否は各社の判断になります。

今からIPOに申し込めますか

できません。機密提出の段階では目論見書も公開されておらず、一般の個人が事前に株を取得する正規の手段はありません。上場前の株を売るという勧誘は詐欺を疑ってください。

PBCのまま上場して大丈夫なのですか

PBCとして上場している企業はすでにあります(Warby Parker、Allbirds、Lemonadeなど)。PBCは営利企業であり、利益も配当も出せます。株主利益と並んで公益目的を考慮する義務がある点だけが、通常の株式会社と異なります。

Anthropicは経営的に安全ですか

AmazonとAlphabetという大手からの出資に加え、2026年5月時点で年間換算470億ドル規模の収益があり、短期的な資金面の不安は小さいと見られます。ただしAI業界の競争は激しく、状況は変わりえます。プロンプトやルールをテキストで保存しておけば、将来ほかのAIへ移る際の資産になります。特定のサービスに依存しすぎない設計にしておくのが無難です。

日本法人はありますか

あります。Anthropicは2025年6月に日本法人の設立を発表し、同年10月にはアジア太平洋地域で初となる東京オフィスを開設しました。日本法人の社長も就任しており、日本のAIセーフティ・インスティテュート(AISI)とはAIの評価手法に関する協力の覚書を結んでいます。日本市場に腰を据えて取り組む体制になっています。

まとめ

2026年7月時点で、Anthropicの株は証券会社では買えません。ただし6月1日にIPOの申請が行われ、上場の準備段階に入りました。時期も価格も未定なので、いま焦って動く必要はありません。上場前の株を売るという勧誘だけは、はっきり避けてください。

それまでの間に取れるのは、Amazon・Alphabet・AI関連ETFという間接的なルートです。そして中小企業の経営者にとって最も確実なリターンは、株ではなく、Claudeを業務に入れて実働時間を削ることです。月1万円弱の投資で月30〜60時間が浮くなら、株価の値動きを追うより先に、そちらを取りに行く価値があります。

自社ではどこから手をつければ投資対効果が出るのか。業種・職種・人数に合わせて一緒に考える30分の相談を無料で行っています。押し売りはせず、その場で使えるプロンプトの型を1本お渡しします。

無料30分相談を申し込む

参考リファレンス(一次情報)