金曜日は、この1週間のAIニュースをまとめてお届けしています。今週は8月25日から27日に発表が固まり、しかもその多くが同じ方向を向いていました。AIが自分でブラウザを開いて操作する、という話です。

名前も会社もバラバラですが、今週の発表は「これまで人がクリックしていた部分を、AIが代わりに押す」という一点でつながっています。だから、これから新機能を見るときに効くのは性能の比較ではありません。どのアカウントの権限で動くのか、人はどこで止められるのか。この2つを先に確認する順番にすると、判断がぶれなくなります。

Claude in Chromeが正式版になり、1操作ごとの承認が要らなくなった

Anthropicは8月26日、Chrome拡張機能のClaude in Chromeを正式版として公開しました。有料の全プランで使えます。これまでは操作のたびに人が承認する必要がありましたが、今回からClaudeが自律的に画面を進められるようになり、代わりに各操作の直前に、その動きが安全で指示どおりかを検証する仕組みが入りました。

この検証が入った理由が重要です。プロンプトインジェクション、つまりWebページやメールの中に人には見えない指示を仕込み、AIを乗っ取る手口への対策です。ブラウザで動くAIは、あなたがログイン済みの画面をそのまま触ります。権限は、そのアカウントでできること全部です。

週明けに試すなら、まず読み取りだけの作業から始めてください。取引先ポータルを開いて今月の受注一覧を読み、表にまとめる。ここまでなら失敗しても実害が出ません。送信や購入を伴う操作は、承認を挟む設定のまま様子を見る段階です。

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Claude Coworkに専用ブラウザが内蔵された

同じ8月26日、Claude Coworkのデスクトップアプリに、Claude専用のブラウザが組み込まれました。Webサイトを使う作業が必要になると、サイドパネルにブラウザが開き、Claudeがページを読み、クリックし、入力します。macOS・Windows・Linux(ベータ)で、Pro・Max・Teamに1週間ほどかけて展開、Enterpriseは管理者が有効化する形です。

拡張機能をインストールする必要がなく、あなたが普段使っているブラウザとは切り離されている点が実務では効きます。連携機能が用意されていない社内システムや取引先の管理画面でも、画面を見て操作できるからです。

私は、中小企業でいちばん人手が溶けているのはここだと見ています。基幹システムとの立派な連携ではなく、ログインして数字を見て、別の表に打ち直す作業です。まずはその作業を1つ書き出して、Claudeに渡せる形かどうかを確かめてみてください。

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ChatGPTの予約タスクが無料アカウントでも使えるようになった

OpenAIは8月25日、予約タスク(決まった時刻や条件でChatGPTを自動実行する機能)を無料アカウントにも開放しました。無料は最大3件、実行は1日1回までです。さらにPlusとProでは、Gmailの新着メール、Slackチャンネルへの投稿、GitHubの動きをきっかけに走らせるトリガーが追加されました。作ったタスクを他の人に共有し、受け取った側が自分用に複製することもできます。

時刻で回すだけなら手動でも代替できますが、出来事をきっかけに動くようになると性質が変わります。毎朝9時に問い合わせメールを要約する、ではなく、問い合わせが届いた時点で下書きが用意されている状態に近づきます。

無料枠が3件と決まっているのは、むしろ好都合です。自分の1週間で、繰り返している作業を3つだけ選ぶ。この制約が、効果の薄い自動化を作り込む失敗を防いでくれます。

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Claudeの記憶が、チャットとCoworkで1つになった

8月25日、Claudeの記憶がチャットとCoworkで共通化されました。チャットで伝えた自社の事情を、Cowork側の作業でも踏まえてくれます。記憶は設定画面から話題ごとに閲覧・編集・削除ができ、健康や信条、アイデンティティに関わる内容は既定では記憶されません。無料・Pro・Maxは既定でオン、TeamとEnterpriseは有効化するまでオフです。

毎回同じ前提を説明し直す手間が減るのは素直に助かります。一方で、記憶されている中身を誰も見ていない状態は避けたいところです。古い価格や、辞めた担当者の名前が残ったまま提案書の下書きに紛れ込むと、質の悪い間違いになります。

週明けに5分だけ、設定から記憶の一覧を開いて読んでみてください。消すべきものが1つか2つは見つかるはずです。

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Google Chatのサイドパネルが、Ask Geminiに置き換わる

Googleは8月26日から、Google ChatでAsk Geminiの提供を段階的に開始しました。Chatの中からGmailやドライブ、カレンダーを横断して探し、会話を要約し、予定を入れるところまでを、画面を移らずに行う作りです。対象はBusiness Standard/Plus、Enterprise Standard/Plus、教育向けアドオンで、全体に見えるまで最大15日かかります。

日本の読者に関係が深いのは条件のほうです。今回の切り替えはアカウントの言語設定が英語の場合に適用され、他の言語のアカウントは当面これまでのGeminiサイドパネルのままだと案内されています。10月1日までは利用上限が緩和される期間も設定されています。

Workspaceを使っている会社は、今すぐ何かする必要はありません。ただ、英語設定にしている社員の画面だけ先に変わる可能性があるので、問い合わせが来ても慌てないように頭の隅に置いておくと安心です。

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Gemini 3.5 Transcribeで、議事録の下ごしらえが変わる

Googleは8月26日、音声を文字にするモデルGemini 3.5 Transcribeを発表しました。言い直しやつなぎ言葉を整理して読める文章に直し、話者を区別し、85を超える言語を自動判別します。Googleは平均の単語誤り率をストリーミングで4.0%、録音では2.6%としています。Gemini Live、ドキュメント、Keep、Gmail、Geminiアプリ、Gboardなどに展開されます。

文字起こしは、非エンジニアがいちばん最初に効果を実感できる領域です。取材、面談、顧客ヒアリング、社内の打ち合わせと、そのまま議事録の材料になります。

私の見立てでは、ここで差がつくのは精度ではなく、その後の1手です。文字起こしを貼り付けて要約させるだけで終わらせず、決定事項と担当者と期限だけを抜き出す指示を定型にしておくと、議事録を書く仕事そのものが消えます。

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Microsoft 365 Copilotの更新で、ExcelがPythonを実行するようになった

Microsoftは8月25日付でMicrosoft 365 Copilotの更新をまとめて公開しました。Excelでは、Copilotに編集を頼むとPythonのコードを実行して集計や変換を行い、結果をそのままブックに書き出せるようになりました。PowerPointではメールを参照して資料を作れるようになり、Copilot Chatの中からOutlookのメールを開ける改善も入っています。

Pythonと聞いて身構える必要はありません。ここでのポイントは、あなたがコードを書くのではなく、日本語で頼んだ内容をCopilotが処理の手段としてPythonを使う、という順序です。関数だけでは面倒だった名寄せや複数ファイルの突き合わせが対象に入ります。

まずは毎月手作業でやっている集計を1つ選び、手順を文章で説明して頼んでみてください。うまくいかない場合、原因はたいてい元データの形が揃っていないことのほうにあります。

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今週の締め

7本を並べてみると、各社が競っている軸が変わってきたのがはっきり分かります。賢さの比較ではなく、どこまで任せられるか、任せた結果をどう確認するか。ブラウザ操作にも、予約タスクにも、記憶にも、同じ問いが埋まっています。

だから今週の宿題は、新機能を全部試すことではありません。AIに操作させてよいアカウントを1つ決めて、そこに入れる権限を絞ることです。これは技術ではなく、社内のルールの話です。決めるのに30分もかかりません。ここを曖昧なまま便利さだけ先に広げると、半年後に困るのは経営側です。

来週も金曜にお届けします。

自社の場合にどう線を引けばいいか迷ったら、無料30分相談を申し込むからご相談ください。話しながら整理します。